アルミニウムの価値向上の提案
アルミニウムは軽くて強く、色々な形に加工しやすくリサイクルできて美しい優れた金属です。世界での金属生産量では鉄に次いで2番目に多く、各種工業製品から日用品まで幅広く利用されています。
このように素晴らしい特徴を持つ金属でも使用用途上欠点になることもあり、例えば鉄と比べて軟らかく傷つきやすく、環境により腐食してしまうことです。
この欠点を補うのが表面処理であります。
対象の硬化・耐食性の向上等・美観の付加等様々な特性を付加することができ、アルミニウムの価値向上が可能です。
シルベックは日本で長年アルミニウムへの表面処理の研鑽を重ねてきました。
アルミニウムを知っているからこそ、適切な表面処理が可能になるのです。
「アルミニウムの価値向上」は私たちの役割なのです。
アルミニウムの特性
軽い
比重はアルミ「2.7」、鉄「7.8」、銅「8.9」なので約1/3の軽さです。この軽さは自動車・航空機・電車などのスピードアップや省エネルギーにつながる地球環境に優しい金属なのです。
柔らかい
硬度はアルミ合金別に「A105:HV19」「A5052-H32:HV60」「A6063-T6:HV73」と柔らかい特性を持っています。
強度が高い
アルミニウム(1000系)の引張強度はそれほど高くありませんが、圧延加工をすることで強度が高くなります。合金では、ジュラルミン(2000系)や超ジュラルミン(7000系)のように鋼に匹敵する強度をもつアルミニウムもあります。
加工性が良い
アルミニウムは圧延・曲げ・絞り・切削などの加工が容易にでき、ダイカストやロストワックスなどの鋳造も広く行われております。また、押出加工のように加熱してダイスの中を高圧で押し出し薄肉の製品を作り出すことさえも可能です。
熱伝導性が良い
アルミニウムの熱伝導率は「銀>銅>金>アルミニウム」の順に良く、鉄の3倍もの熱伝導率を持っています。しかも金属比重が銀・銅と比べて約1/3という軽さのため様々な製品の放熱目的部品(ヒートシンク等)として使用されています。
電気伝導度が良い
アルミニウムの電気伝導度は、「銀>銅>金>アルミニウム」の順に良く、銅の60%ですが比重が1/3と軽いため、同じ重量の銅線と比べて約2倍の電気を流すことができるのです。アルミは、電線、電極、ブスバーなどにも使用できます。
低温に強い
アルミニウムは、低温に強く-200℃の極低温においても強度を保つため低温環境での構造材に適しています。銅は-62℃以下になるともろくなるので構造材には向いていません。
リサイクル性が良い
アルミニウムは、溶解から再生するために必要なエネルギーがアルミニウムの新地金を製造すると時に要するエネルギーの1/28で済みます。スクラップ価値の高い金属です。
毒性がない
アルミニウムは、調理器具や飲料缶などに使用されているように毒性のない金属です。
磁性がない
アルミニウムは磁石につかない非磁性金属であります。そして軽い金属のため、外部からの磁力線・ノイズ電波などから保護する電磁波シールド板に適しています。
アルミニウムの価値向上表面処理の提案
アルミニウムの耐食性を向上する
アルミニウムは空気中の酸素と結合して薄い酸化皮膜を自然形成します。その酸化皮膜により、耐食性の優れた金属でありますが、表面処理をすることで更に耐食性を持たせることが可能です。
使用用途や要求品質により、お勧めする表面処理の種類は変わりますが、アルマイト・化成処理・めっきのすべてで耐食性を向上させることが可能です。
<適合表面処理>
・アルオンめっき(アルミ素材へ高耐食性めっき)
・アルマイト(普通アルマイト、硬質アルマイト)
・化成処理(ダイレクトクロメート)
アルミニウムの表面硬度をあげて耐摩耗性、摺動性、強度を向上させる
アルミニウムは構造物に使える強度を持った金属ですが、柔らかい金属でもあります。熱処理で硬くすることも可能ですが、更に硬くするには表面処理が必要です。
アルミ材質にもよりますが当社の普通アルマイトではHV200、硬質アルマイトではHV400以上、ニッケルクロムめっきではHV800以上に表面硬度を高めることが可能です。
硬くすることで皮膜質量が増加し耐摩耗性能が向上します。軽いため速く動く部品や少ないエネルギーで動かす部品に適しています。
また、PTFEなどを含有させた皮膜をアルミニウムに作ることで潤滑性、摺動性が向上します。
<適合表面処理>
・硬質アルマイト
・無電解ニッケルめっき
・ニッケル-クロムめっき
美しい外観を付加したい
アルミニウムは、そのままでも美しい外観を持った金属でもあります。しかしアルマイトやめっきをすることで、更にデザイン性を高めることが可能です。
鏡面仕上げやマットな質感を持った各種金属色のめっき外観、アルミ合金の種類にもよりますがアルマイト+染色による美しい金属質感を持った様々な色を作り出すことも可能です。
同時に、耐食性や強度を確保することも可能です。
<適合表面処理>
・研磨・梨地
・ニッケルめっき
・ニッケル-クロムめっき
・アルマイト(各種カラー)
高い電気伝導率を利用した製品を作る
アルミニウムは、電気をよく通す金属の4位であります。しかし、アルミ材料のままだと空気中の酸素と結合して自然に作られた酸化皮膜により接触電気抵抗が高い金属になってしまいます。
そこで、接触電気抵抗の低い金属皮膜をめっきすることにより、軽くて、電気をよく通す金属であるアルミニウム製品を作ることが可能になります。
<適合表面処理>
軽い金属特性にはんだ付け性の付与
アルミの軽さと加工しやすさを利用した部品を作りたいが、はんだ付けで製品を固定したりする場合、アルミニウム表面のままでははんだ付けが不可能です。
その場合は、はんだ付けに適しためっきをアルミニウムにするによりはんだ付けができるアルミニウム部品が出来上がります。
当社では、はんだ濡れ性の高いニッケルめっきと昔からはんだ付け目的に採用される錫めっきで対応可能です。
<適合表面処理>
アルミニウムの電磁波シールド性能を更に高めたい
アルミニウムは電磁波シールド性能があります。しかし、更に電磁波シールド性能を高めたい場合の銅めっき処理がございます。これにより、広い周波帯での電磁波シールド性が高まると評価頂き採用されております。
<適合表面処理>
アルミニウムの優れた熱伝導性能を利用したヒートシンクを作りたい
アルミニウムは熱伝導率良い金属の順位4位であり、軽いためヒートシンクの材料によく採用されます。
アルマイトをすると熱伝導性能が上がるかと言うと、そうではありません。実際にはアルマイト皮膜は純アルミ系材料と比べ熱伝統性能は劣ります。
では、なぜヒートシンクにアルマイト皮膜が採用されるのかと言うと、アルマイト皮膜が輻射率を高め放熱効果が高まるからです。
輻射率を高めた方が良いか、材料の熱伝導性能をそのまま使った方が良いかについては、使用環境により、効果のある表面処理が変わってきます。
アルマイト皮膜の厚みによる性能変化もあります。アルミ材質によっても変わってきます。アルミ材料の持つ性能をそのまま使いたい場合は、アルミの化成処理をお勧めします。
また、複雑な形が作れるアルミダイカストヒートシンクにはアルマイトや化成処理の表面処理が必要です。
輻射率を高めることが必要でない場合でも、腐食により性能が落ちてしまうこともよくありますので、どちらにしても表面処理することが高性能ヒートシンクには必要だと考えております。
<適合表面処理>
アルミニウムと異種材料の接着・接合強度、気密性の非常に高い部品を作る
アルミニウムの電解により特殊形状の酸化アルミニウムを生成させることにより、接着・接合強度と気密性が非常に高い部品を作ることが出来ます。
例えば、その処理をしたアルミ部品で樹脂インサート成形することで、アルミ+樹脂の接合強度と気密性が非常に高い一体部品を作ることが出来ます。
また、エポキシ接着剤で接着した場合の接着強度は非常に高く、そして安定します。
アルミニウム表面処理による寸法変化イメージ
化学研磨・バフ研磨:寸法マイナス(研磨分)
化成処理皮膜:寸法変化なし(ZERO)
アルマイト皮膜:寸法増加(普通アルマイト:トータル膜厚の1/3増加, 硬質アルマイト皮膜はトータル膜厚の1/2増加)
めっき皮膜:寸法増加(めっき膜厚分)
塗装膜:寸法増加(塗装膜厚分)
VA/VE 提案による仕様のご提案
お客様のご要望により、製品立上げ企画の時から参画し、立上げ初期から不具合の発生しない仕様や形状の提案、コストを抑えながら要求機能を満たす提案、場合によっては材料の提案などをさせて頂くことがございます。
現行の仕様と要求品質からコストダウンできる仕様などを提案させていただくことも可能です。アルミニウムの特性と表面処理の関係を知っている立場からの提案によりより価格が安く機能を満たせる表面処理によりアルミニウムの価値向上に貢献します。
タイへの生産移管やタイ生産立ち上げ前支援を日本で行えます。日本で工程設計からサンプル作成までしてからタイで生産開始したいお客様と一緒に一つ一つ確認し、提案しながら進めることが可能です。
タイでは長年アルミニウム部品の需要が高いため、様々な工法でアルミ部品を作る企業がたくさんあります。お客様が望まれる品質とコストを達成出来る企業を選ぶことでタイからワンストップサービスでのアルミ部品調達が可能です。
日本でしっかり打合せをすることでお客様のご要望を正しく理解しタイで調達し日本、または世界各地に納品することが可能です。
アルミニウムへの表面処理を知っているから提案できることがあります。
お気軽にご相談ください。
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