亜鉛ダイカストの特徴
亜鉛ダイカストは流動性がよく複雑な形状、薄肉な製品でも寸法精度の高いダイカスト製品を作ることができます。
ダイカストする溶湯温度がアルミダイカスト(670〜760℃)と比べ亜鉛ダイカスト(420〜450℃)は低いため金型寿命も長く、生産性の高いホットチャンバーマシンでの鋳造(ダイカスト)が可能なため生産性の高い工法です。
メリット
- 寸法精度が高く複雑な形状でも可能
- 機械的特性が優れている
- 鋳造性がよく薄肉化が可能(0.2mm〜)
- 金型寿命が30万〜150万ショットと長く1個あたりの金型費用が安い
- ホットチャンバーマシンでショットできるため生産性が高い
- 多様な表面処理により特性を付加できる
- 電気抵抗率が8番目と良好である(ニッケルや黄銅より良い)
デメリット
- 空気や離型剤の巻き込みにより鋳巣が発生する
- 金型費用が必要(企画数量と形状により経済効果は計算できる)
- 強度や靱性が鋳巣の出来にくい鋳造品と比べて劣る
- 酸性とアルカリ性どちらでも腐食する金属であるため表面処理が必要な場合が多い
- 亜鉛ダイカスト材料に錫が規格を超えて含有すると、著しい粒間腐食を起こし極めて脆くなる(材料管理が重要)
総括:
表面処理は要求品質に耐えられる亜鉛ダイカスト品質と亜鉛ダイカスト素材の特性を理解した上での工程設計とノウハウが必要になり、要求品質を満足する亜鉛ダイカスト品質と表面処理品質を達成できれば大きく価値を向上させることができます。
亜鉛ダイカストへの表面処理
シルベックは長年に渡り亜鉛ダイカストへのめっきについて研鑽を重ねてまいりました。特に精密亜鉛ダイカストへのめっきについては当社の特徴の一つと言えるほどノウハウを所有していると自負しています。
亜鉛ダイカストは優れた工法でありますが、素材欠陥をゼロにすることも困難であります。
また、亜鉛ダイカストは再めっき処理が難しい素材でもあります。そこを深く理解した上でダイカスターと当社が協力して、亜鉛ダイカスト品質作り、マッチングした工程設計でめっきをしなければ安定した製品を作り上げることはできません。
ダイカスター様の製品を当社のめっきや化成処理で安定した良品に仕上げるためのノウハウを駆使しながら日々多くの亜鉛ダイカスト品へめっき処理させて頂いております。
お困りのことがございましたら、お気軽に当社へご連絡ください。必ず何かしらの提案や見解をお伝えさせて頂きます。
【めっき】
亜鉛ダイカストには、下地銅めっきが必要ですがフィニッシュはどのようなめっき種類でも対応可能です。目的によって最後のめっき種類が決まります。
ソルダブルニッケル(ハンダ付け強度が錫同様のニッケルめっき)
D-ZERO(主要寸法部分の素材寸法変化ZEROで適正めっき膜厚確保)
JIS2級ネジ管理(通り止めネジ管理が可能)
【化成処理】
亜鉛ダイカストは亜鉛合金を使っているため、クロメートをダイレクトに処理することが可能です。化成処理の種類は、3価クロムクロメートかジルコン処理(ノンクロム)を選ぶことが可能です。どちらも、RoHS指令に対応しています。
耐食性を付加することが目的です。当社の3価クロムクロメートをダイレクト処理ではSST(JIS中性塩水噴霧試験)で50時間白錆なしを達成しています。
亜鉛ダイカストに化成処理してそのまま使う(寸法変化無し)
塗装下地として化成処理する(塗膜密着安定性と耐食性の大幅向上)
カゴ処理できるので廉価で処理できる
ダイレクトクロメート処理(ダイレクト化成処理)
【塗装・印刷】
塗装と印刷の場合は塗装前処理としての化成処理を含む場合または、亜鉛ダイカスト材料からのワンストップサービスにてお受けできます。
当社サプライヤーにて塗装はエアスプレー塗装やカチオン電着塗装、印刷はパッド印刷・スクリーン印刷に対応できます。
【研磨・梨地】
予備処理として研磨(バフ・バレル・ベルト)することにより光沢面や平滑面、また梨地(ショットブラスト)で均一に粗すことでマット外観や落ち着いた外観を作ることが可能です。
バフ研磨
対応素材:亜鉛ダイカスト
対応工場:日本・タイ
エメリーバフ(粗研磨)・サイザルバフ(中仕上げ)・バイアスバフ(仕上げ研磨)があり研磨剤を使いながら物理的に磨いていきます。研磨面は寸法が減ります。形状や仕上げ要求によりバフだれなどが発生する可能性もあります。
バレル研磨
対応素材:亜鉛ダイカスト
対応工場:日本・タイ
バフ研磨が困難な形状や、研磨部分の研磨が可能。小物部品など品質要求により多量を一度に研磨することが可能です。要求によりメディアの選定を行うことやバレル機(回転・遠心・振動・電磁など)の種類を選定することが重要です。研磨面は寸法が減少します。
ベルト研磨
対応素材:亜鉛ダイカスト
対応工場:日本・タイ
切削力が高く、粗研磨〜中仕上げ研磨用として選定されます。バフに比べて平面研磨が容易です。亜鉛ダイカストのパーティングラインをベルト研磨で処理してからバフ研磨やバレル研磨、または梨地工程に移ることが多いです。
梨地 ショットブラスト 手打ち型 回転テーブル型 コンベア型 バレル型 他
適応素材:亜鉛ダイカスト
対応工場:日本・タイ
当社では亜鉛ダイカストの表面を、梨地面やつや消し面にする目的でショットブラストを行なっております。
お客様の要求に合わせ、機械の型とメディア種類と、サイズを選びます。ダイカストの鋳肌が2枚肌や鋳巣が表層のすぐ下にある場合、ショットブラストで叩くことで表面が破られるような状態になることもあります。
この辺りを熟知し、お客様とダイカスト品質の打ち合わせをよくした上で、条件設定をする必要があります。
【ワンストップサービス】
私たちは、長年ダイカスターのお客様に育てて頂きました。
製品の品質要求を理解した上で、最適なダイカスター様をご紹介することが可能です。
同時に当社が金型〜ダイカスト品〜加工〜表面処理までワンストップで調達してお客様へ納入することが可能です。
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