アルミダイカストADC12の腐食対策:防錆目的表面処理
シルベックはアルミダイカストADC12への防錆処理において多くのノウハウを有し、オリジナル技術でのご提供も可能です。
アルミダイカストADC12材の耐食性と表面処理について
アルミダイカストADC12材は鋳造性・機械的特性および被削性が良く、アルミダイカスト合金別の生産比率では90%以上を占める最も多く使用されているアルミダイカスト材です。
しかし耐食性はアルミダイカスト材の中でも劣るほうであり、使用用途によっては防錆処理をする必要が生じます。
アルミダイカストADC12の防錆処理として代表的な処理は、下記の4種類が挙げられます。
- めっき
- アルマイト
- 化成処理(三価クロメート処理)
- カチオン電着塗装
ADC12と各種表面処理の防錆効果について
1.めっき
ADC12のめっき性は悪くありません。
ADC12にめっきする場合、一般的に下地めっきとして銅めっきかニッケルめっきをします。
ニッケルめっきをダイレクトに処理してそのまま使う場合も多々ありますが、銅めっきまたはニッケルめっきの上には、用途に合わせて様々なめっきの選定が可能です。
トータル膜厚25μm程度でJIS塩水噴霧試験500時間白錆発生なしの「アルオンクロムめっき」や黒色が欲しい場合などには亜鉛めっき+黒クロメートなどをする場合もあります。
当社で行われている、ADC12へのめっき種類
- 銅めっき
- 銅+ニッケル+クロムめっき
- ニッケルめっき
- ニッケル+クロムめっき
- ニッケル+三価クロムめっき
- ニッケル+錫(スズ)めっき
- ニッケル+銀めっき
- NiP無電解ニッケルめっき
- NiP無電解ニッケル+クロムめっき
- 亜鉛めっき+クロメート処理・黒クロメート処理
- アルオンクロムめっき(超高耐食性クロムめっき)
*全てRoHS指令対応めっきです。
2.アルマイト
ADC12は銅(Cu)1.5〜3.5%、ケイ素(Si)9.6〜12%と多く添加されたアルミダイカスト種です。
またダイカスト特有の湯ジワやピンホール、部分的に合金比率が違うことなどにより陽極酸化処理性(アルマイト性)が悪い材料であります。
通常アルマイトによる耐食性は大変高いのですが、ADC12のアルマイトについては一般的に耐食性はあまり良くありません。
当社タイ工場ではダイカスト専用アルマイトラインがあり、オリジナル技術のアルミダイカストADC12の高耐食性アルマイト「HiCアノダイズ」が可能です。
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アルミダイカスト(ADC12)の高耐食アルマイト処理/HiCアノダイズ
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アルミ材料別 JIS塩水噴霧試験結果
No. | 材料 | 膜厚(µm) | スペック | 48H | 120H | 240H | 480H | R.N | Remark | 判定 |
1 | A6061 | 10 | 普通アルマイト | - | - | - | ✔︎ | 10 | 白錆発生なし | OK |
2 | A6061 | 20 | 普通アルマイト | - | - | - | ✔︎ | 10 | 白錆発生なし | OK |
3 | A1050 | 10 | 普通アルマイト | - | - | - | ✔︎ | 10 | 白錆発生なし | OK |
4 | A1050 | 20 | 普通アルマイト | - | - | - | ✔︎ | 10 | 白錆発生なし | OK |
5 | A5052 | 10 | 普通アルマイト | - | - | - | ✔︎ | 10 | 白錆発生なし | OK |
6 | A5052 | 20 | 普通アルマイト | - | - | - | ✔︎ | 10 | 白錆発生なし | OK |
7 | ADC12 | 5 | HiCアノダイズ | ✔︎ | - | - | - | 9.5 | 巣穴に若干の腐食が確認できる | OK |
8 | ADC12 | 5 | HiCアノダイズ | - | ✔︎ | - | - | 9.3 | 巣穴に1~2mmの腐食有 | OK |
9 | ADC12 | 5 | HiCアノダイズ | - | - | ✔︎ | - | 9.5 | 120Hと腐食の程度はほぼ変わらない | OK |
10 | ADC12 | 5 | 普通アルマイト | ✔︎ | - | - | - | 7 | 巣穴に腐食が発生 | NG |
11 | ADC12 | 5 | 普通アルマイト | - | ✔︎ | - | - | × | 全体的に腐食が発生 | NG |
12 | ADC12 | 5 | 普通アルマイト | - | - | ✔︎ | - | × | 激しい腐食 | NG |

画像左上から下に1・2・3 右上から4・5・6

画像左上から下に 7・8・9 右上から10・11・12
3.ADC12化成処理
3価クロム系
ADC12への化成処理は、直接ADC12の表面に化学的に反応させて化成被膜を析出させます。
6価クロム系の化成処理(アロジン処理など)は被膜に6価クロムを含有するためRoHS指令に対応できませんがこの三価クロム系の化成処理は、RoHS指令指令に対応します。
当社実績として流動しているADC12材への三価クロム系化成処理(アロジン代替え)による耐食性は、JIS塩水噴霧試験72h R.N9.8をクリアします。
ノンクロム化成処理(ジルコニウム系)
完全クロムフリー要求の場合には、このジルコニウム系の化成処理をお勧めしています。
三価クロム系化成処理と比較すると耐食性は落ちますが、塗装下地としてよく採用されます。
→アルミ化成処理(3価クロム系、ジルコニウム系)詳細ページへ
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4.カチオン電着塗装
水溶性の電着塗料に製品を浸漬させてマイナス極として電流を流し塗料を付着させる塗装になります。
塗膜の特徴は
- 複雑な形状でも塗装ムラが少ない
- 塗膜厚みが比較的均一
- ピンホールの発生があまり無い
- 塗膜密着性が高い
このような塗膜のため、大変耐食性に優れた塗装になります。
水溶性塗料のため、VOCの発生が少なく環境に優しい塗装方法です。
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