アルマイト

アルマイト種

アルマイトとは

アルミニウムは、空気中の酸素に触れることで薄い酸化皮膜を生成します。そのために耐食性の良い金属と言われておりますがその皮膜は10Å(1ナノメートル)程度の非常に薄い皮膜なため防食用保護皮膜としては使えず、環境によってはすぐに腐食してしまいます。
そこで防錆・防食を目的とし、アルミニウム製品を陽極で電解処理してアルミの酸化皮膜を生成させる表面処理がアルマイトです。

アルマイト種

アルマイト

アルミニウムを陽極として電気分解し酸化アルミニウムを生成させる処理です。耐食性が高くアルミニウム表面硬度を高め、染色や着色できる等アルミニウムの付加価値を高め様々な用途に使うことができるようになります。

アルマイト種を分類すると、主に以下の3種類に分けられます。

  1. 普通アルマイト:防錆や装飾・放熱・絶縁などを目的とします。
  2. 硬質アルマイト:皮膜硬度(硬くする)・耐摩耗性向上を目的とします。
  3. 機能アルマイト:①②以外の機能目的を持つアルマイト皮膜です。

当社では、アルミダイカストライン・硬質アルマイトライン・カラーアルマイトライン・小ロット&試作ラインと4ラインに分かれております。

普通アルマイト

当社の普通アルマイトは硫酸法で行われ皮膜が無色透明に近いので染色効果に優れています。染色しない場合は限りなくアルミ色に近い外観で、ナチュラルと呼びます。

また、様々な染料で染色することにより金属感のある各色カラー外観を得ることができます。

アルミダイカスト合金10種・12種に関しては無色透明な皮膜ではなく、濃いグレーと茶色の混ざったような色に自然発色致します。ケイ素の影響によるためです。

よって、アルミダイカスト合金でも5種・6種などは中間色でも染色することが可能です。

当社では、普通アルマイト・硬質アルマイトのJISスペック・MILスペックに準拠した処理が可能です。

対応アルミ材料 展伸材1000系〜7000系・鋳物用合金ADC3・ADC5・ADC6・ADC7・ADC10・ADC12・HT-1・AC7C・AC4C等
色調 ナチュラル・ブラック・ゴールド・レッド・ブルー・グレー・ブラウン・ブロンズ・他
工法 治具
皮膜硬度 例)A1100でHV250前後(材質により変化)
寸法増加 膜厚×約1/3(10μmの場合、3〜4μm増加)
可能予備処理 化学研磨・化学梨地・バフ研磨・サンドブラスト・ヘアライン(処理により寸法変化量が違う)
標準膜厚 指定膜厚に対応、または使用目的に対して提案可能
A6063への普通アルマイト
(カラーアルマイト)
2色アルマイト
(黒色と赤色をアルマイトで作る)

アルミダイカストADC12への普通アルマイト(自然発色します)

 

硬質アルマイト

アルミニウムに硬質アルマイトすることで耐摩耗性の高い皮膜を得ることができます。硬質アルマイトはダークカラーに自然発色し、膜厚が厚くなるにつれ濃く発色します。

例としてA5052やA6063材の時普通アルマイト皮膜がHV200程度の皮膜硬度だとすると、その倍のHV450程度の皮膜硬度を得ることができます。ただしアルミ材質により得られる皮膜硬度は違います。

硬質アルマイトの仕様表

対応アルミ材料 展伸材1000系〜7000系・鋳物用合金ADC3・ADC5・ADC6・ADC7・ADC10・ADC1・,HT-1・AC7C・AC4C等
色調 自然発色(膜厚・材料によりグレーブラウン系に自然変化)
工法 治具
皮膜硬度 HV250〜450またはそれ以上(材質による)
寸法増加 膜厚×約1/2(10μmの場合、5μm増加)
標準膜厚 指定膜厚に対応 または使用目的に対して提案可能(実製品でHV硬度測定には20μm以上必要)

素地アルミ材質と硬質アルマイト皮膜品質(JIS H 8603 硬質陽極酸化皮膜)

種類 材質 硬さ 耐摩耗性 皮膜重量 耐食性
平面摩耗 噴射摩耗 テーパー摩耗
1種 2種を除く展伸材 400以上 80以上 80以上 15.0以下 1100以上 336Hr
点食なし
2種 a 2000系展伸材 250以上 30以上 30以上 35.0以下 950以上 当事者間協定
b 7000系、5000系(Mg2%以上)展伸材 300以上 55以上 55以上 25.0以下 950以上 当事者間協定
3種 a Cu2%,Si8%未満の鋳物、ダイカスト 250以上 当事者協定 当事者協定 当事者協定 950以上 当事者協定
b aを除く鋳物、ダイカスト 当事者協定 当事者協定 当事者協定 当事者協定 当事者協定 当事者協定
備考 マイクロビッカース硬さ試験による。 数字は基準試験片の耐摩耗性と比較した比率(%)を示す。 数字は摩耗量(mg)平板回転摩耗とも言う mg/d㎡ 中性塩水噴霧試験による。
*展伸材とは、JISH4000・H4040・H4100・H4140に規定する圧延板・押出材・引抜き材

アルマイト種
A5052材への硬質アルマイト膜厚別の自然発色サンプル画像

アルマイト種
A6061材への硬質アルマイトと普通アルマイトの自然発色の違い
(左:硬質アルマイトアルマイト種右:普通アルマイト)

HiCアノダイズ

HiCアノダイズについて

ADC12材のように、銅(Cu)1.53.5%、ケイ素(Si)9.612%が添加されているダイカスト材へのアルマイトは一般的に難しいと言われています。
しかし、当社タイ工場(THAI SILVEC CO.,LTD)にはアルミダイカスト専用アルマイトラインがあり、アルミダイカストの特性を理解した専用アルマイトライ
ンで、目的にあった工程設計をすることでアルミダイカストへの高品質なアルマイト処理が可能です。

当社のADC12材への高耐食性アルマイト処理をHiCアノダイズ」と呼んでいます。

HiCアノダイズの特徴

アルミダイカストADC12材への通常のアルマイト処理で膜厚5μmの製品をJIS水噴霧試験した場合、48時間を過ぎたあたりから白錆が発生してきます。
当社のADC12材への高耐食性アルマイト処理「HiCアノダイズ」で膜厚5μmの製品をJIS塩水噴霧試験した場合、240時間でレイティングナンバー(RN)9.5が可能
です。

耐食性試験データ

HiCアノダイズについてのご質問等がありましたらぜひご気軽にお問い合わせください

対応可能工場

八潮/日本 ○対応可能(外注:当社提携企業にて対応可能)
チョンブリ/タイ ○対応可能(全自動硬質アルマイト専用ライン)

アルミニウム材料とアルマイト処理性

合金番号 アルマイト処理の目的
防食 染色 光輝 耐摩耗
1080 A A A A
1070 A A A A
1050 A A A A
1100 A A A A
2011 C C D C
2014 C C D C
2017 C C D C
2024 C C D C
3003 A B C A
3004 A B C A
5005 A A B A
5052 A A B A
5056 A A C A
5083 A A C A
5N01 A A A A
6061 A A C A
6063 A A B A
6N01 A A C A
7075 B B C B
7N01 B B C B
AC1B C C D C
AC2A C D D C
AC3A B D D B
AC4B C D D C
AC4C B D D C
AC5A C C D C
AC7A A A B A
AC8A C D D C
AC9A C D D C
ADC1 C D D C
ADC3 B D D B
ADC5 A A B A
ADC6 A B B A
ADC10 C D D C
ADC12 C D D C
アルマイト処理性 A:優 B:良 C:可 D:困難

FAQ よくある質問

Q:A2000系、A7000系のジュラルミン系アルミニウムにアルマ イトは可能でしょうか?

A:可能です。当社では2000系・7000系にもアルマイトしています。

Q:アルマイト処理で2色の色を表現することは可能でしょうか?

A:可能です。2色アルマイトと言って、一度アルマイトして全体を1色に仕上げます。違う色を入れたい部分を再切削しアルミを剥き出してその部分だけにアルマイトして別の色にする事が可能です。タイシルベックでは現在、黒と赤の2色アルマイトの処理をしております。

Q:硬質アルマイトの硬度を測りたいのですが何μmくらいあれば適切な硬度を得られて、測ることも可能でしょうか?

A:アルマイトの硬度は、5μmでも50μmでも硬さは変わりません。しかし、ビッカース硬度(Hv)を測る場合は、マイクロビッカースでも20μm以上の厚みが必要です。何故ならば、アルマイト皮膜の硬度は、アルマイト皮膜の断面に対して計測する為です。ビッカース硬度はダイヤモンドを落として付いた跡の大きさを測って硬度を決定いたします。アルマイト皮膜に20μm厚みがないとその断面にダイヤモンドを落とした跡の大きさを測る事ができない為です。

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